勾留理由開示手続について

逮捕に続く勾留の要件は、①住所不定、②罪証隠滅を疑う相当の理由がある、③逃亡を疑う相当の理由がある、の3つです

通常は、②と③を理由に勾留されるわけですが、その際には具体的にどのような点で罪証隠滅を疑うだけの相当の理由があるのか、どのような点で逃亡を疑うだけの相当の理由があるのかについては、検察官からも裁判官からも説明はされません

そのため、あなたには罪証隠滅を疑うだけの相当の理由があります、逃亡を疑うだけの相当の理由がありますとだけただ抽象的に言われた被疑者の中には、とても驚く人がいます

一体全体どうやったら本件でそれを疑えるのかという事案でも、あなたには疑うだけの相当の理由があるとかライトに言われるからです

あらゆる法規に優位するはずの憲法34条では、「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。 又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。」とされているのですが、現実は全くこれとは異なるわけです

捜査時には、弁護人に対しても捜査側からほとんど情報をもらえませんし、当然証拠なども全くみせてはもらえません

刑事訴訟法には勾留理由開示という手続が規定されていて、憲法34条からすれば当然勾留の理由を具体的に教えてもらえるのかと思いきや、担当裁判官は木で鼻をくくったような説明しかしないと言われており、昨日の研修に参加してくださった元裁判官も、裁判所としてはそれが当然の対応になるのだと堂々と述べられていました

そのような実態のために、現在では全国で年間400~500件しか行われていないそうですし、私もこれまで一度も申し立てたことがありませんでした

しかし、「弁護人の認識が事実なら、いくらなんでもこの勾留は正義に反しすぎている」(上記のとおり弁護人には捜査時にはほとんど情報が与えられないので、その時点での弁護人の認識が事実と全く異なっているということもありうるのです)という事案に接し、準抗告も棄却されたので、ついにダメ元で申し立てて本日勾留開示デビューしてきました

わかってはいましたが、やはり意味の感じられない手続でした

もう当分やりません

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